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組織デザインの基本要件

こんにちは。やまもとです。

MBAで学んだマーケティングでは、あまり組織構造には触れませんでした。しかし、企業経営で、組織をどうするかは、戦略と組織という経営2大問題の1つです。「マーケティング検定2級試験 公式問題集&解説」では、組織のデザインについて第4章で触れられています。

今回は組織デザインに関する部分について、頭の整理をする意味で、いくつか気づいた点をメモしていこうと思います。

企業で働いていれば当たり前と感じますが、組織デザインの基本要件は、下記の3つです。

  • 分業
  • 部門化
  • 権限配分

なぜ組織が必要になるのか?

組織が必要になるのは、一人では多くの顧客に製品・サービスを届けられないからです。

例えば、一人でコンサルティングサービスを提供する場合を考えましょう。

この場合、実際にコンサルティングするだけでなく、営業・交渉・受注契約・資料作成・サービス提供・送金確認・会計処理など様々な業務を一人で行う必要があります。顧客が1〜2社程度であれば一人でも全ての作業を実施することができるでしょうが、顧客が100社ともなるととても一人で全ての作業を行うには時間が足りません。

だから、分業が必要になります。

例えば、営業担当・サービス提供担当・財務担当の3人にすると、各担当がその業務に時間を使えるため、より多くの顧客にサービスを届けることができるようになります。単純に、仕事に使える時間が、1人分から3人分に増えたと考えることもできます。

しかし、分業にはデメリットもあります。

上記の例で言えば、営業担当は、顧客名・契約内容・料金・顧客の要望などをサービス提供担当に伝えておく必要があります。そうしないと、顧客の望んでいたものと違うサービスを提供してしまうかも知れません。つまり、分業をすることで「調整コスト」が発生するようになります。

分業による各コストの関係は次のようなイメージになります。

この図は、分業化を進めれば進めるほど、1件あたりの作業コストは減っていくものの、調整コストが増えていく様子を示しています。そのため、分業しすぎると逆に全体のコストは向上してしまいます。

このどんどん増えていく調整コストを低減するために、部門化が行われます。部門化は、関係の強い業務を集約し、業務間の調整を部門内で完結させ、部門間の調整を部門長に任せることで、調整コストを下げるための仕組みです。

ここまでは、作業の分業化を考えていましたが、意思決定の分業化に当たるのが権限配分です。数人の企業であれば社長が全て意思決定できるでしょうが、大企業になると社長が全ての意思決定をするのは不可能になってきます。

そこで、権限を「係→課→部→社」などに分けて、各段階の長に決裁権を委任することで、一人一人の意思決定の量を減らすことが行われています。

意思決定には、集権化分権化の2つの方向性があります。集権化は意思決定を上の階層に集中することで、分権化は意思決定の権限を下の階層に委譲することです。どちらにも、メリットとデメリットがあります。

集権化された組織は、トップマネジメントで集中的に意思決定されるので、部門間の調整がきちんと出来ます。ただし、その調整には時間がかかることが多く、意思決定が遅くなりがちです。

分権化された組織は、権限委譲により現場に近いところで意思決定が行われ、市場や技術の変化に素早く対応できます。ただし、部門間の調整が疎かになるため、各部門で同じ顧客に二重にアプローチしていたり、同じ技術を二重に開発をしていたりといった、無駄が発生する可能性があります。

以上をまとめると、次のようになります。

  • 一人では製品・サービスを多くの人に届けられないため、分業が必要になる
  • 細かく分業していくと調整コストが増大するため、部門化が必要になる
  • 意思決定を分業するために、組織を階層化とともに権限配分が必要になる
  • 権限配分の方法として、集権化分権化がある
  • 集権化すると、意思決定に一貫性が出るが、スピードが遅くなる
  • 分権化すると、市場の変化に素早く対応できるが、部門間の調整に無駄が発生しやすくなる

基本要件のメリット

ここでは、組織デザインの基本要件のメリットについて、公式問題集&解説から抜粋し、表にまとめておきます。

基本要件メリット
分業・仕事を単純化する
・仕事の熟練度が高まる
・段取り替えコストを削減する
部門化・関連の強い業務が集まり、それらの間の調整が密に行われる
・部門間の調整は各部門のリーダー(代表者)に委ねることが可能になる
権限配分集権化する場合
・部門間の調整をきちんと行うことができる
・変化の少ない環境のもとで、仕事の安定性や正確さ、信頼性を追求する場合に適する
分権化する場合
・市場や技術の変化に素早く対応できる
・流動的な環境のもとで、仕事の迅速さや柔軟性、創造性を追求する場合に適する
組織デザインの基本要件のメリット

前述の通り、基本要件にはメリットもあればデメリットもあり、「どの程度分業すれば良いか」「何を部門としてまとめればいいか」「集権化と分権化の割合をどうするか」など、バランスの問題になります。

そのため、組織をデザインする必要が発生します。


このブログは、「マーケティング検定2級試験 公式問題集&解説」を参考にしています。

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