世界線からたどる特殊相対性理論

こんにちは。やまもとです。

一応、物理学で博士をもらったので特殊相対性理論は勉強したのですが、だいぶ忘れているので復習してみることにしました。

ただし、下記の事項はすでに知っているので、これを前提にすることにします。

  • 特殊相対性理論は、時空回転の対称性(不変性)のこと
  • 不変になるのは、4次元時空(ミンコフスキー空間)の距離(長さ)
  • この距離は、運動の軌跡(世界線)にそってパラメタライズされている

ということで、まずは世界線の確認から始めてみたいと思います。

世界線とは

前述の通り、世界線とは座標系(ct,x,y,z)で表現される4次元時空中の運動の軌跡のことです。運動の軌跡なので曲線(静止または等速直線運動なら直線)になります。曲線なので1次元で表現でき、曲線に沿ったパラメータsで表現することができます。

慣性系とは

慣性系とは、加速度のかかっていない運動にのった座標系のことです。ニュートンの運動方程式から「加速度がない運動=力がかかっていない運動」と言っても同じことです。力がかかっていない運動とは、静止しているか、等速直線運動(ずっと同じ速度で一方向に進む運動)のどちらかになります。静止と等速直線運動の世界線は、直線になります。

2つの慣性系の相対速度

相対速度は一般的な用語ですが、特殊相対性理論で使う場合は2つの慣性系の速度差のことです。慣性系Aの移動速度をv_A、慣性系Bの移動速度をv_Bとしたとき、v_A<v_Bとすると、慣性系Aからは慣性系Bが相対速度v=v_B-v_Aで遠ざかっていくように見えます。同様に、慣性系Bからは慣性系Aが相対速度v=v_A-v_Bで遠ざかっていくように見えます。このとき、慣性系Bからは相対速度v<0となりますが、座標軸を反転させれば(下図の場合、x\to -x,\ x'\to -x'とすれば)、慣性系Aから見た場合と相対的に同じ状況になります。

絶対に不変なもの

上記の慣性系Aから見た相対速度の定義v=v_B-v_Aに従うと、もし慣性系Aと慣性系Bが光の速度で等速直線運動をしていたとすると、相対速度はv=0となります。しかし、これは、マイケルソン・モーレー実験などの多くの「光の速度測定実験」の結果である「光の速度はどの慣性系で見ても同じ」と異なります。そこで、この事実と整合させるには、発想の転換が必要になります。

特殊相対性理論では、この不整合が起きてしまうのは「どの慣性系でも、時間(時刻の間隔)と空間(位置の間隔)が不変なこと」を前提にしているためで、その代わりに「どの慣性系でも、世界線の長さが不変」なことを前提にすることで不整合を解消しています。

慣性系以外も含めた一般の世界線は曲線になるので、世界線の長さは、直線とみなせるほど微小な長さdsに区切り、これを世界線にそって積分することで計算します。そのため、「どの慣性系でも、世界線の長さが不変」とは、「どの慣性系でも、世界線の微小な長さdsが不変」と言い換えることができます。

世界線の長さの定義

普段、私たちが「距離(長さ)」と考えているのは、3次元空間(ユークリッド空間)での距離です。しかし、前述した通り、世界線は4次元時空(ミンコフスキー空間)の曲線です。ユークリッド空間とミンコフスキー空間とでは距離の定義が異なり、ミンコフスキー空間の距離は次のように定義されます。

 ds = \sqrt{ -c^2dt^2+dx^2+dy^2+dz^2 }

ミンコフスキー空間を無理やりユークリッド空間で描いているため、前出の図はこの距離の定義と一致しません。この距離の定義と一致した図にするには、虚数単位iを使って、縦軸を虚時間ictに変更する必要があります。

つまり、ユークリッド空間とミンコフスキー空間の違いは、

  • ユークリッド空間
    • 全ての座標軸が実数軸で表される座標系
  • ミンコフスキー空間
    • 座標軸の1つが虚数軸(相対論の場合は時間軸)で表される座標系

と考ればいいかと思います。

なぜ、時空をミンコフスキー空間で考えなければいけないかと、ユークリッド空間では物理的におかしな結果になるからです。

仮に、時間1次元と空間1次元の2次元時空の距離がユークリッド空間で定義されていたとしましょう。もし、世界線の距離dsが0だったとすると、以下のように速度cが計算できます。

 ds = \sqrt{c^2dt^2+dx^2}=0 \rightarrow c^2dt^2 = -dx^2 \rightarrow c dt = i dx \rightarrow c = i \frac{dx}{dt}

これは、速度がいつでも虚数となることを示していますが、現実世界では実数として測定されていますので、物理学的に不適合な結果です。結果として、このような不整合が起きなためには、時間軸と空間軸が距離の定義において異符号になる(すなわち、ミンコフスキー空間である)ことが必要になります。

世界線の長さの不変性

前述の世界線の長さの定義を使うと、世界線の長さが慣性系Aの座標系(ct,x,y,z)から見ても慣性系Bの座標系(ct’,x’,y’,z’)から見ても同じ(不変)であるというのは、次のように表されます。

 ds = \sqrt{ -c^2dt^2+dx^2+dy^2+dz^2 } = \sqrt{ -c^2dt'^2+dx'^2+dy'^2+dz'^2 }

一方、慣性系Aの観測者から見た慣性系Bの座標系は、任意の変換行列Rを用いて、次のように計算されます。

 \left(\begin{array}{c} ct' \\ x' \\ y' \\ z' \end{array}\right) = R \left(\begin{array}{c} ct \\ x \\ y \\ z \end{array}\right)

この座標変換を用いると、上記の世界線の長さの不変条件は、次のように計算することができます。

 ds^2 = \left( cdt', dx', dy', dz' \right) \left(\begin{array}{cccc} -1 & 0 & 0 & 0 \\ 0 & 1 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 0 & 1 \end{array}\right)\left(\begin{array}{c} cdt' \\ dx' \\ dy' \\ dz' \end{array}\right) = \left( cdt, dx, dy, dz \right)R^T\left(\begin{array}{cccc} -1 & 0 & 0 & 0 \\ 0 & 1 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 0 & 1 \end{array}\right)R\left(\begin{array}{c} cdt \\ dx \\ dy \\ dz \end{array}\right)

この結果から、任意の変換行列Rが下記の条件を満たすかぎり、Rで変換されたどんな座標系でも世界線の長さは同じになるということができます。

R^T gR = g

ただし、ここで行列gを次のようにおきました。

 g \equiv \left(\begin{array}{cccc} -1 & 0 & 0 & 0 \\ 0 & 1 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 0 & 1 \end{array}\right)

この行列gは、ミンコフスキー空間の距離の測り方を規定している量で、計量テンソルと呼ばれます。前提にしている空間を表していると言うこともできます。

世界線の長さが不変な変換

空間の変換

上記の条件式を満たす変換行列Rがどのような行列なのかを調べるために、一旦、時間軸を除いた3次元空間だけを考えます。時間軸を取り除くと、行列gは単純な単位行列I(対角成分が全て1の行列)になるので、Rが満たすべき条件はR^TR=IあるいはR^T=R^{-1}となります。

転置行列が逆行列と等しい行列はよく知られており、回転行列になります。例えば、x-y平面上の回転行列は、角度パラメータθを使って次のように表されます。

 R(\theta) = \left(\begin{array}{cccc} 1 & 0 & 0 & 0 \\ 0 & \cos\theta & -\sin\theta & 0 \\ 0 & \sin\theta & \cos\theta & 0 \\ 0 & 0 & 0 & 1 \end{array}\right)

sin関数が奇関数、cos関数が偶関数であることを利用すると、転置行列は次のように逆回転の行列(逆行列)になります。

 R(\theta)^T=\left(\begin{array}{cccc} 1 & 0 & 0 & 0 \\ 0 & \cos\theta & \sin\theta & 0 \\ 0 & -\sin\theta & \cos\theta & 0 \\ 0 & 0 & 0 & 1 \end{array}\right)=\left(\begin{array}{cccc} 1 & 0 & 0 & 0 \\ 0 & \cos(-\theta) & -\sin(-\theta) & 0 \\ 0 & \sin(-\theta) & \cos(-\theta) & 0 \\ 0 & 0 & 0 & 1 \end{array}\right)=R(-\theta)

時空の変換

時間軸と空間軸の変換では、行列gが単位行列にはならないため、転置行列=逆行列という条件にはなりません。実際にt-x平面上の変換行列を導出すると、媒介変数θを使って、双曲線関数による擬似的な回転行列になります。(導出方法は付録A)

 R(\theta) = \left(\begin{array}{cccc} \cosh\theta & \sinh\theta & 0 & 0 \\ \sinh\theta & \cosh\theta & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 0 & 1 \end{array}\right) \ R(-\theta)=\left(\begin{array}{cccc} \cosh\theta & -\sinh\theta & 0 & 0 \\ -\sinh\theta & \cosh\theta & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 0 & 1 \end{array}\right)

こちらも、sinh関数は奇関数、cosh関数は偶関数なことを利用して、以下のように、上記2つの行列は相互に逆回転になっていることが示せます。

 \left(\begin{array}{cccc} \cosh\theta & -\sinh\theta & 0 & 0 \\ -\sinh\theta & \cosh\theta & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 0 & 1 \end{array}\right)=\left(\begin{array}{cccc} \cosh(-\theta) & \sinh(-\theta) & 0 & 0 \\ \sinh(-\theta) & \cosh(-\theta) & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 0 & 1 \end{array}\right)

時空を回転させる

世界線はどの慣性系から見ても同じなので、慣性系Aから慣性系Bを観測するときは、測定尺度である座標系を変換します。

ここでは、慣性系Aの座標系(ct,x,y,z)の時間軸の単位ベクトル(1,0,0,0)とx軸の単位ベクトル(0,1,0,0)を回転させてみましょう。まず、時間軸の単位ベクトルは次のように変換されます。

\left(\begin{array}{c} ct' \\ x' \\ y' \\ z' \end{array}\right) =\left(\begin{array}{cccc} \cosh\theta & \pm\sinh\theta & 0 & 0 \\ \pm\sinh\theta & \cosh\theta & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 0 & 1 \end{array}\right)\left(\begin{array}{c} 1 \\ 0 \\ 0 \\ 0 \end{array}\right)

同様に、x軸の単位ベクトルは次のように変換されます。

\left(\begin{array}{c} ct' \\ x' \\ y' \\ z' \end{array}\right) =\left(\begin{array}{cccc} \cosh\theta & \pm\sinh\theta & 0 & 0 \\ \pm\sinh\theta & \cosh\theta & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 0 & 1 \end{array}\right)\left(\begin{array}{c} 0 \\ 1 \\ 0 \\ 0 \end{array}\right)

これより、慣性系Aの単位ベクトルは、慣性系Bでは次のようになることが分かりました。

 (1,0,0,0) \rightarrow (\cosh\theta,\pm\sinh\theta,0,0),\  \ (0,1,0,0)\rightarrow (\pm\sinh\theta,\cosh\theta,0,0

これは、慣性系Bの観測者が感じている単位ベクトルを、慣性系Aの観測者が自分の座標系(ct,x,y,z)に換算する時のルールを表しています。

双曲線関数の値は直感的に分かりにくいので、図示してみると下記のようになります。

この図によると、θ=0.5のとき、coshθ≒1.2、sinhθ≒0.5になります。そのため、R=R(θ)の場合、慣性系Bの時間軸は座標(1.2,0.5,0,0)を、x軸は座標(0.5,1.2,0,0)を通るような軸に変換されます。同様に、R=R(-θ)の場合は、時間軸は座標(1.2,-0.5,0,0)を、x軸は座標(-0.5,1.2,0,0)を通るような軸に変換されます。これを図示すると、慣性系Aからは慣性系Bの座標系は、次のような斜交座標系に見えることになります。

また、慣性系Aの座標系(ct,x,y,z)の大きさ1の単位ベクトルは、慣性系Aから観測した慣性系Bの座標系(ct’,x’,y’,z’)は大きさが1より大きくなっています。しかし、慣性系A基準では1より大きい単位ベクトルを、慣性系Bの観測者は大きさ1の単位ベクトルと認識しています。こうして、慣性系Aと慣性系Bでは時間と空間の認識にズレが生じることとなります。

空間認識のズレ

空間認識がどの程度ずれるのかは、x軸方向の測定尺度dxだけを時空回転してみると分かります。

\left(\begin{array}{c} cdt' \\ dx' \\ dy' \\ dz' \end{array}\right) =\left(\begin{array}{cccc} \cosh\theta & \pm\sinh\theta & 0 & 0 \\ \pm\sinh\theta & \cosh\theta & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 0 & 1 \end{array}\right)\left(\begin{array}{c} 0 \\ dx \\ 0 \\ 0 \end{array}\right)

これより、 dx'=\cosh(\theta)dxとなります。前述の図から、\cosh(\theta)\ge1 なので、必然的にdx'\ge dxとなることが分かります。

このことから、慣性系Aから見た慣性系Bでは空間が歪み、測定尺度が大きくなってしまっているので、慣性系Bでは物体の長さは短く測定されていると考える必要が出てきます。

これが、「地上(慣性系A)の観測者からは、光(慣性系B)にとっての飛行距離が短くなっている」というローレンツ収縮の相対論的解釈になります。

時間認識のズレ

時間認識のズレについても、同様に時間の測定尺度dtだけを時空回転すると分かります。

\left(\begin{array}{c} cdt' \\ dx' \\ dy' \\ dz' \end{array}\right) =\left(\begin{array}{cccc} \cosh\theta & \pm\sinh\theta & 0 & 0 \\ \pm\sinh\theta & \cosh\theta & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 0 & 1 \end{array}\right)\left(\begin{array}{c} cdt \\ 0 \\ 0 \\ 0 \end{array}\right)

これより、 dt'=\cosh(\theta)dtとなり、空間認識の場合と同様に、必然的にdt'\ge dtとなること分かります。

空間認識の場合と同様に、慣性系Aから見た慣性系Bでは時間が歪み、時間の測定尺度が大きくなってしまっているので、慣性系Bの時刻は遅れているように見えます。

相対性とは

以上の議論は、慣性系Aの観測者から見た慣性系Bの運動について議論していました。

しかし、相対速度の説明でも書いたように、慣性系Bの観測者から見た慣性系Aの運動の場合も、(x軸の向きを反対にする必要はありますが)全く同じ状況になります。すなわち、慣性系Aと慣性系Bを入れ換えて議論しても、全く同様の結論になります。具体的には、慣性系Bの観測者から見ると、慣性系Aの長さは縮んで見えるし、時刻も遅れているように見えます。

このことは、普遍的な慣性系Aというものは存在せず、2つの慣性系A,Bは相対的にしか定義できないことを示しています。

ゆえに、「相対性理論」と呼ばれているわけです。


途中、つじつまが合わなくて悩みましたが、なんとか思い出すことができました。

実は、やまもと的には、特殊相対性理論は「4次元時空の距離を一定に保つ時空回転の対称性」程度にしか覚えていません。

特殊相対性理論の解説はたくさんあると思いますが、物理学者的な理解の仕方を知ってもらえれば幸いです。

まあ、やまもとは物理学者と呼べるのか怪しいところですが。。。

相対性理論がなぜ必要だったのかは、下記のnoteに書いたので、参考までにリンクしておきます。

note.com : 物理学の地図


付録A. 時空回転行列の導出

ここで、時空回転をパラメータa,b,c,dを使用して、下記のように仮定する。

 R = \left(\begin{array}{cccc} a & b & 0 & 0 \\ c & d & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 0 & 1 \end{array}\right)

すると、不変性の条件は下記のようになる。

\left(\begin{array}{cccc} a & c & 0 & 0 \\ b & d & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 0 & 1 \end{array}\right)\left(\begin{array}{cccc} -1 & 0 & 0 & 0 \\ 0 & 1 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 0 & 1 \end{array}\right)\left(\begin{array}{cccc} a & b & 0 & 0 \\ c & d & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 0 & 1 \end{array}\right)=\left(\begin{array}{cccc} -1 & 0 & 0 & 0 \\ 0 & 1 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 0 & 1 \end{array}\right)

これを、具体的に計算する。

\left(\begin{array}{cccc} -a & c & 0 & 0 \\ -b & d & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 0 & 1 \end{array}\right)\left(\begin{array}{cccc} a & b & 0 & 0 \\ c & d & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 0 & 1 \end{array}\right)=\left(\begin{array}{cccc} -a^2+c^2 & -ab+cd & 0 & 0 \\ -ab+cd & -b^2+d^2 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 0 & 1 \end{array}\right)=\left(\begin{array}{cccc} -1 & 0 & 0 & 0 \\ 0 & 1 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 0 & 1 \end{array}\right)

すると、パラメータa,b,c,dが満たすべき条件は、次のようになる。

-a^2+c^2=-1,\ -ab+cd=0, \ -b^2+d^2=1

第1条件と第3条件を満たすのは、双曲線関数なので、角度パラメータ\theta,\varphiを使用して、次のように置き換える。

 a=\cosh\theta,\ c=\pm\sinh\theta,\ b=\pm\sinh\varphi,\ d=\cosh\varphi

ここから、第1条件と第3条件は双曲線関数の性質から、自動的に満たされることがわかる。

 a^2-c^2=\cosh^2\theta - \sinh^2\theta=1,\ -b^2+d^2=-\sinh^2\varphi+\cosh^2\varphi=1

第2条件は、双曲線関数の加法定理となっており、次のように変形される。

-ab+cd=-\cosh\theta\sinh\varphi+\sinh\theta\cosh\varphi = \sinh(\theta-\varphi) = 0

双曲線関数\sinh x=0が成立するのは、x=0の時だけなので、

 \theta = \varphi

となる。

結果として、次のような行列が得られる。

 R(\theta) = \left(\begin{array}{cccc} \cosh\theta & \sinh\theta & 0 & 0 \\ \sinh\theta & \cosh\theta & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 0 & 1 \end{array}\right) \ R(-\theta)=\left(\begin{array}{cccc} \cosh\theta & -\sinh\theta & 0 & 0 \\ -\sinh\theta & \cosh\theta & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 0 & 1 \end{array}\right)

コメントを残す