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価格を決める戦術のまとめ

こんにちは。やまもとです。マーケティング検定2級の勉強をしています。

前回は、価格の決め方の5つの方針(戦略レベル)を紹介しましたが、今回はもう少し細かいレベル(戦術レベルとします)のことを書いていきます。実際、価格の最終決定は、マーケティング・ミックスや企業戦略などと調整する必要があり、戦術レベルの話が必要になります。

戦術レベルのなると、企業努力によって多様な価格設定があって、まとめるのが難しいのですが、マーケティング検定テキストに従うと、だいたい6つのカテゴリーに分類できるようです。

価格戦術の分類

下の図は、テキストをもとに、戦術レベルの価格設定方法をまとめたものです。

大きくは「地理」「取引」「製品」「心理」の4つの領域に分けられ、細かくは「地理的価格設定」「価格割引」「アロウワンス」「セグメント型価格設定」「製品ミックス価格設定」「心理的価格設定」の6つのカテゴリーに分けることができました。

4つの各領域のうち、「地理」は地理に応じて価格を変える方法、「取引」は取引条件によって価格を変える方法、「製品」は製品や販売経路などで価格を変える方法、「心理」は顧客心理を利用する価格設定方法です。このうち、「取引」と「製品」は2つのカテゴリーに分けました。「取引」は、条件に応じて価格を割引く「価格割引」と、販売促進のために協賛金を支払う「アロウワンス」に分かれます。「製品」は、顧客セグメント毎に異なる価格を設定する「セグメント型」と、製品ラインナップのように価格の異なる製品を用意する「製品ミックス型」に分かれます。

以下では、6つのカテゴリーの価格設定について、量が多いので簡単に説明していきます。

white dump truck near pine tress during daytime
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地理的価格設定

地理的価格設定は、主に製品の送料に見られる価格設定です。「送料は、距離に応じて異なる」ことをイメージする分かりやすいかもしれません。下記に、この価格設定方法を一覧にまとめます。

価格設定方法説明
FOB(Free on Board)価格設定工場-自宅間などの輸送距離に応じて、送料を設定する方法。公平だが遠方の顧客の負担が大きい。
全国統一価格設定全顧客に対して均一の送料を請求する方法。全輸送費の平均金額を適用。遠方の顧客はお得だが、近くの顧客は高めに支払う。
地域別価格設定関東・関西・東北・九州など地域毎に価格を設定する方法。
基準地点価格設定東京や大阪など基準点からの距離に応じて、送料を設定する方法。基準点は必ずしも発送地点とは限らない。
輸送費吸収価格設定送料を販売者が負担する方法。取引を増やし、平均コストを下げることが狙い。
photo of discount sign
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価格割引

取引では、さまざまな条件で割引することがあります。消費者としては、セールで安くなっていたり、スーパーで買った方が安かったりすることを考えるとイメージしやすいのではないでしょうか。近年では、電子マネーを使うと割引されたりしますね。

価格設定方法説明
現金割引即座に支払う顧客に対して価格を割り引く方法。B2B取引に多い。航空券の早期割引も一例。
数量割引大量購入者に対して価格を割り引く方法。大量仕入れすると材料費が下がる理由の一つ。
機能割引メーカーが特定機能(販売・保管など)を果たす卸売業や小売業に対して行う割引。
季節割引オフシーズンの購買者に対して価格を割り引く方法。

アロウワンス

消費者としてはあまり馴染みがありませんが、アロウワンスは企業が販売促進のために支払う協賛金のことです。例えば、スマホを買い換える時に、今使っているスマホを下取りして費用を補填してくれますよね。

価格設定方法説明
プロモーショナル・アロウワンスメーカーが、広告や販売支援をするディーラーに報酬や価格割引。
トレードイン・アロウワンス新製品の発売時に、古いモデルを下取りによって支払われる割引。
people enjoying the concert
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セグメント型価格設定

セグメント型の価格設定とは、同一製品であっても顧客によって価格を変えることです。例えば、映画館の学生料金や高齢者料金が相当します。これは、マーケティング・ミックス(4P)に対応して、各種の価格設定があります。

価格設定方法説明
製品形態別価格設定生産コストは同じでも、顧客が求める利用価値に応じて価格を変える方法。例えば、天然水を飲料水or化粧水で異なる価格を設定する。
場所別価格設定コストは同じでも、場所に応じて異なる価格を設定する方法。例えば、ライブではアリーナ席が高くスタンド席は安く設定されている。
イメージ型価格設定類似した製品でも、ターゲット顧客を分け、プロモーションなどで異なるイメージを確立し、異なる価格を設定する方法。
チャネル型価格設定製品は同じでも、販路によって異なる価格を設定する方法。同じコーラでも、スーパー・自販機・飲食店で料金が異なるのが一例。
2段階価格設定定額制と従量制などの2つの価格設定を用いる方法。主な例は、通信会社の料金プラン。

製品ミックス型価格設定

製品ミックス型の価格設定は、一つの企業が複数の製品を価格差をつけて提供する方法です。例えば、スマホでは、モデルによってストレージ容量を変えて、容量が大きいものほど高価格に設定していますね。

価格設定方法説明
製品ライン価格設定製品ラインに段階的価格を設定する方法。顧客の知覚価値を考慮し、あえて大きな価格差をつける。例えば、1000円,1200円,1500円よりも、1000円,2000円,3000円の方が消費者は価値の差を知覚しやすい。
オプション価格設定主製品に比べて、オプションの製品やサービスを低価格に設定する方法。ついでに購入してもらうことが狙い。
キャプティブ価格設定本体を低価格に設定し、付属品を高利益率な価格に設定する方法。付属品の買い換えで、利益をあげることが狙い。
製品バンドル価格設定いくつかの製品をまとめて、割引価格で提供する方法。普段買わない製品の購入を促すことが狙い。

この他に、製品の生産で生み出された副産物を廃棄せずに、別製品に再利用することで廃棄コストを下げて、価格競争力を高める方法もある。

photo of wine bottles
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心理的価格設定

心理的価格設定は、顧客の心理を考慮した価格設定です。例えば、100円ではなく98円で売られていたり、定価1000円と割引価格780円を併記していたりといった値札は見たことがあるのではないでしょうか?

価格設定方法説明
品質イメージ価格設定品質が判断しにくい製品で、品質を示す価格を設定する方法。例えば、2000円と8000円のワインなら、高い方を良いと考える。
端数価格設定切りの良い価格(1000円)ではなく、端数価格(980円)にし、安さを強調する方法。
内的参照価格設定購買経験によって形成された「購買者が心の中で参照する価格」に合わせて設定する方法。

ということで、戦術レベルの価格設定をまとめてみました。生活の中で見たり体験したりした価格設定が多かったではないでしょうか。

もちろん、これで全てではなく、企業の創意工夫によって新しい方法が次々に生まれているでしょう。そんな時は、「なんでこの価格にしているのかな?」と考えてみると、その企業の狙いが推測できるかもしれません。

このリストは、価格設定に困った時や、販売量を増やしたいなどの狙いに合わせて、参考にしてもらえれば嬉しいです。

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