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消費者行動分析の集計水準と階層性

マーケティング検定2級の消費者行動分析の出題範囲は、知らなかった概念や用語が多くて何回にもわたって記録していくことになりそうです。

今回は、消費者行動分析の区分と外的要因と内的要因についてまとめておきます。

分析していると、あれもこれも要因に思えてしまいますが、個人レベルの要因や社会レベルの要因が混ざってしまうと、逆に混乱してしまいます。

混乱すると、分析と整理に時間がかかってしまいます。

なので、分析のレベル感をはっきりさせて、分析の立ち位置を把握しておかないといけません。

そのために、複雑に絡み合った対象や事象を「分ける」ことが、「分析」の王道です。

分析の立ち位置を分ける

集計水準(集計レベル)で分ける

すでに書いたように、個人レベルの分析と社会レベルの分析では、分析対象が大きく異なります。前者は特定の個人を対象としますが、後者は社会現象が分析対象になります。これは、全く異なりますね。

このような、「どの集計単位で考えるか」というのを「消費者行動の集計水準」というそうです。集計水準は聞き慣れないですが、「集計レベル」と言い換えるとイメージできるのではないでしょうか。

この消費者行動の集計水準には、名前がついていて、検定試験では下記を覚えておかないといけません。

  • 消費者行動
    • 個別行動・・・個人の行動を単位とする
      • 個人行動・・・個人の選択行動を分析対象とする
      • 相互作用・・・2名以上の個人間の相互作用プロセスを分析対象とする
      • 集団行動・・・2名以上のグループの意思決定などを分析対象とする
    • 集合行動・・・社会過程(流行、普及など)を分析対象とする

「個別行動」と「個人行動」、「集団行動」と「集合行動」はかなり紛らわしいので、正確に覚えておかないと間違えそうですね。

階層性で分ける

別の分け方として、消費者行動は、消費者が製品やサービスを購入してから処分するまでのフェーズと考えることもできます。

この消費者行動の時間軸での分け方を「消費者行動の階層性」というそうです。

「階層」というよりも「フェーズ」と言った方が適切な気もしますが、試験では「階層性」で出題されるので「階層性」で覚えておきましょう。

この消費者行動の階層性にも、各階層に名前がついているので、個別に覚えておく必要があります。

  • 消費者行動
    • 消費行動・・・・・「お金を何に消費/貯蓄するか」の選択
    • 購買行動・・・・・「何を、どのくらい、どういう頻度で購入するか」の選択
      • 買物行動・・・「どこで購入するか」の選択
    • 使用行動・・・・・「どのように使って、どのように処分するか」の選択

こちらも、「消費者行動」と「消費行動」、「購買行動」と「買物行動」が紛らわしいですね。

「消費者行動」は消費者という「人」を指すのに対し、「消費行動」は消費という「現象」を指していると覚えておくと良さそうかと思います。

「購買行動」と「買物行動」の違いは、「買物行動」は「購入場所」の選択で、それ以外を「購買行動」と考えると良さそうです。

また、「消費」には「製品やサービスを使用する」イメージもあるため、「消費行動」と「使用行動」でも混乱しそうですね。

集計水準と階層性で分ける

以上の2つの軸を使うと、「どのレベルのどのフェーズの分析をしているのか」という立ち位置が分かります。

この立ち位置によって、分析の起点となる疑問が異なります。

試しに、数人で旅行に行く場合について、集計水準と階層性で区分けし、分析疑問を考えてみました。

図1:消費者行動分析の分析区分

これは、素人の分析ですが、分析区分ごとに考えるべきことが変わることが分かるかと思います。

要因を分ける

分析区分を決めたら、「なぜ、消費者はそのような行動を取るのか?」という要因を考えることになります。

要因を考えるとき、徒手空拳で手当たり次第に要因をピックアップするというのは、なかなか大変な作業になります。

これを効率的に行うには、要因の視点のリストを頭の中に作っておくと便利です。

そこで、要因を「外的要因」と「内的要因」に分けて、視点をリスト化しておきます。

ここで、「外的要因」は、消費者の外側にある原因で、消費者自身がコントロールできない原因のことです。

一方、「内的要因」は、消費者の内面にある要因で、消費者自身がある程度コントロールできる原因のことです。

もちろん、分析区分に応じて、適切な視点を使用する必要はあります。

外的要因を分ける

外的要因は、文化のように広範囲かつ長期的に影響するものから、その場の状況のように局所的かつ短期的な影響しかないものまで様々なものがあります。

  • 外部要因
    • 文化・・・・・・・・・社会で共有された価値観。例えば、「食文化」など。
    • 下位文化・・・・・・・一部の集団で共有された価値観。いわゆる「サブカル」のこと。
    • 社会階層・・・・・・・職業、所得、教育水準などの社会的序列。または、階層帰属意識(どの階層にいると考えるか)。
    • 家族・・・・・・・・・家族形態やライフステージ。
    • 準拠集団・・・・・・・行動の拠り所となる集団。友人関係やコミュニティ、有名人のファンなど。
    • 外的条件・・・・・・・経済環境(マクロ要因)や消費者の置かれている状況(ミクロ要因)。
    • マーケティング環境・・マーケティングミックス4Pの各施策による影響。
    • 状況要因・・・・・・・①物理的環境、②社会的環境、③時間的状況、④課題定義、⑤先行条件の5つ。

間違いやすいのは、マーケティング施策も外部要因に入るところでしょうか。

確かに、マーケティングミックス4Pの製品・価格・販路・広告は、消費者がコントロールできるものではないですよね。

また、聞き慣れない「準拠集団」は、特に覚えておく必要がありそうです。ジャニーズファンの行動を見ると、確かに要因として機能していそうです。

上記の旅行の場合を例に、各視点の要因を考えてみたので、載せておきます。

図2:消費者行動の外的要因

この図を見ていると、市場細分化(セグメンテーション)に使えそうですね。

内的要因を分ける

内的要因は、消費者個人に関する要因になります。性別・年齢といった人口統計的属性から、モチベーションのような心理状態まで含みます。

  • 内的要因
    • 人口統計的属性・・・性別、年齢など
    • 価値意識・・・・・・何に価値を置いているか、価値観
    • パーソナリティ・・・個性の違いによる影響
    • 生活資源・・・・・・使用できる時間や所得、家族人数
    • 情報処理能力・・・・情報処理の仕方や速度
    • 動因・・・・・・・・欠乏による欲求
    • 誘因・・・・・・・・欲求を満たし、動因を低減するもの。
    • モチベーション・・・動因・誘因から学習し、高次の欲求を獲得するプロセス。
    • 関与・・・・・・・・製品サービスと欲求と価値が結びつき、動機付けられた状態。高関与だと、積極的に情報収集する。
    • 知識・・・・・・・・製品サービスに関する知識やカテゴリー。
    • 態度・・・・・・・・「好き・嫌い」「良い・悪い」といった全体的評価。

「生活資源」「動因」「誘因」「関与」「態度」あたりは、聞き慣れないですね。

「生活資源」は、「経営資源の家庭版」と考えれば、簡単に連想できそうです。

「動因」「誘因」は、それぞれ「欲求」「解消」と読み替えれば分かりやすいのではないでしょうか。

「関与」は、ビジネス用語で言えば「顧客エンゲージメント」のことと考えれば良さそうです。

態度Attitude)」は、好き・嫌いといった購買行動の前提状態で、意図を形成し、行動(Behavior)を規定する心理学的要因ですね。心理学をかじっていると聞いたことがあるかもしれません。

意外なのは、「情報処理能力」も内的要因に含まれていることです。言われてみれば、良いと思ったものをすぐ購入する人も、多くの情報を吟味してから購入する人もいますね。だから、「どう情報を処理しているのか?」が購買行動に影響を与えるわけですね。

これらの視点について、上記の旅行の例に、内的要因を考えてみました。

図3:消費者行動の内的要因

モチベーションのあたりは、マズローの5つの基本的欲求にしていますが、これは良い例が思いつかなかったからです・・・。

素人が考えたものなので、「だいたい、こんな要因を考えればいいのかなぁ」程度の参考に留めてください。

まとめ

分析区分の軸や、要因の視点として、かなり多くの名称と概念が出てきました。

聞き慣れない名称も多いですが、概念の説明を見ると「あれのことか〜」とイメージできるものもあります。

ただ、試験では、聞き慣れない名称で出題されるので、名称と概念の連結(定義)を記憶する必要がありますね。。。

結構、大変だなぁ。

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