マーケティングでは、消費者行動の分析フレームワークとしてAIDMAやAISASは有名ですが、コトラー(1980)が整理した「7つのO」はご存知でしょうか?
私は、全く知らず、試しに受けたマーケティング検定2級の問題で初めて知りました。もちろん、その問題は不正解だったと思います。
MBAで勉強していたときも、「7O」や「7つのO」という言葉に出会ったことはなかったので、一般には知られていないのかもしれません。
しかし、マーケティング検定には出題されるので、どういうものなのか見ておきたいと思います。
消費者行動分析の目的
最近は、インターネット上の消費者行動を分析するデジタル・マーケティングや、一人一人の消費行動に合わせてマーケティング活動を自動化するマーケティング・オートメーション(MA)が注目されていますが、消費者行動の分析は、結局のところ「人々はなぜ購買するのか?」を明らかにすることです。
これは、今でもほとんど変わらないと思います。唯一、人工知能(AI)にマーケティング活動を任せるMAでは必要ないかもしれません。
しかし、消費者の消費行動が、「ものを買う」だけでなく、「サービスを利用する」とか「サブスク契約する」とか「投げ銭で応援する」というように多様化しているので、購買に至るまでの行動と購買後の行動も考慮しなければならなくなっています。
そのため、今の消費者行動分析では、次のような疑問に答える必要が出てきています。
- 「人々はなぜ購買するのか?」
- 「どのように購買するのか?」
- 「人々はなぜ消費するのか?」
- 「どのように消費するのか?」
これらの疑問の回答を探索するために、ターゲット市場の消費者の購買行動を理解する枠組みがコトラーの「7つのO」です。
コトラーの「7O」
コトラーは、消費者ニーズの異質性を把握するために必要な要素を「7つのO」として整理しました。
要素 | 意味 | 詳細 |
---|---|---|
Occupants (主体) | 誰がターゲット市場を構成しているのか | 市場細分化(セグメンテーション)による消費者の特定 |
Objects (客体) | 何を購入するのか | 購入対象物の特徴(製品orサービス、耐久財or非耐久財など) |
Objectives (目的) | なぜ購入するのか | 顧客の欲求や顧客ニーズ |
Organization (組織) | 誰が購入に関与しているのか | 組織(家族)の購買意思決定への関わり方 |
Occasions (時期) | いつ購入するのか | 購入頻度のタイムスパン(毎日〜一生に一度) |
Outlet (販路) | どこで購入するのか | 購入場所(オンライン、立地、小売業態など) |
Operations (活動) | どのように購入するのか | 購買意思決定プロセス(きっかけ、情報収集、商品比較など) |
7つのOうち6つは、5W1H(Who, What, Why, When, Where, How)に相当していますね。
残りの1つ、Organizationが特徴と言えるかもしれません。
購買の意思決定をする際、製品やサービスが家族共用のものだったり、コミュニティで使用するものだったりすると、購買者だけが消費者ではなくなります。
例えば、お父さんが自動車を購入する場合、主な利用者とドライバーはお父さんかもしれませんが、自動車に乗るのはお母さんも子供たちも乗ることになるでしょう。つまり、購買者はお父さん、消費者は家族全員ということになります。
この場合、お父さんは自分の意思だけで購入できるかというと、大抵の場合はお母さんや子供たちの意見を聞くのではないでしょうか?
お母さんに反対されたら購入できない、ということもあるかもしれません。
このとき、購買者はお父さんですが、購買の意思決定者はお母さんということになります。
Organizationは、このような観点を指しています。
まとめ
今回は、消費者行動分析の基本的な観点であるコトラーの「7つのO」(7O)を勉強しました。
7Oの内容は基本的なことなので、「言われなくても分かっている」と感じるかもしれませんね。自分もそう思います。
ただ、試験問題の7Oの要素名が出ると、言葉と内容が結びつかないので、自信を持って正解を選ぶことができません。
悩んでいると、試験時間を無駄にしてしまいますので、覚えておいた方がいいでしょうね。