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なぜ量子力学は理解しにくいのか

こんにちは。やまもとです。

量子コンピュータや量子暗号という言葉が社会に浸透してきたおかげで、「量子」という言葉がビジネスシーンでも聞かれるようになってきました。

でも、「量子」というものを誤解、あるいは過大評価されている発言を聞くことがあります。「量子」といっても、なんでもできるというわけではありません。

そこで、物理学なんて知らないよという方に、一応、物理学を勉強した自分が持っている「量子のイメージ」をお伝えしておこうと思いました。

量子のイメージ

やまもとの中では、量子は下図のようなイメージを持っています。

図1、量子のイメージ

19世紀までの物理学では、物体の本質は粒子として存在するのか、波動として存在するのかという議論がありましたが、量子力学はこれをどっちでもいいものにしました。

量子力学が解明されたことで、「実在は量子という形であって、見かけ上、粒子や波動に見えているだけ」というのが自然界の現実だと理解されました。

そのため、量子論に基づく物理理論では、「粒子?じゃあ、波動で考えてもいいよね」とか「波動?じゃあ、粒子として考えようか」というように、比較的自由に粒子と波動を入れ換えて考えます。

なぜ量子は難しいと感じるのか?

量子論が厄介なところは、本質的に複素数が理論の基盤になっていることです。

古典論と呼ばれる量子以前の物理理論は、実数を扱うだけで済みました。実数とは、私たちが普段目にする数字です。例えば、長さ、重さ、金額といった数字は全て実数で記述されています。

これに対して、高校で習うように、複素数は実数と虚数の2つの数字で表されます。虚数は二乗すると負になる数字で、現実世界では認識できなかったため虚数と呼ばれています。

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量子力学は、この人類には見えない虚数を、現実に存在するものと考えさせることになりました。

しかし、人類は400万年の進化の歴史の中で、虚数(あるいは複素数)を見たことがありません。そのため、人間の脳も、虚数をイメージできるようにはできていません。

人間の脳がイメージできない物事をイメージで理解しようとしたらどうなるでしょうか?

当然、「分からない」「難しい」となりますよね。

言い換えると、物理学は量子論から人間の常識を超えた自然の現実を描写し始めるため、それを理解するには、私たちが普段の生活の中で持ってしまう常識を取り払わなければならないので、量子は難しいと感じてしまうのです。

どうすれば理解できるのか?

実は、やまもとも大学時代は量子力学が全く理解できず、修士課程に進学する前に猛勉強しました。

その時の経験に基づけば、量子力学を理解するには、次のような思考が必要でした。

  • イメージしようとしたら負けだ!イメージで理解しようとするな
  • 常識は全く当てにならない!常識的に考えるな!非常識的に考えろ
  • 数学を信じろ!どんなに変でも、数学的に正しければ、それが正解だ!
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前述の通り、イメージできないものをイメージしようとしたら大混乱してしまうため、やまもとはそもそもイメージで理解しようすることを止めました

そして、どうしても常識的に考えようとしてしまうため、常に非常識的に考えることを意識するようにしていました。

3つ目は、実験研究の場合は、実験結果を絶対視する必要があります。やまもとは、理論研究に携わっていたので数学を絶対視していました。

このように、思考回路を組み替えたことで、ようやく量子というものが掴めたような気がします。

まとめ

この記事では、やまもとの経験に基づいて、次のことを書きました。

  • 量子が実在、粒子と波動は見せかけ
  • 複素数的存在の量子は、人間脳ではイメージできない
  • 量子を理解するには思考回路を変え

前述の通り、量子論をイメージで理解するのは本質的に困難です。

それでも、イメージで理解したい場合は、図1を思い出していただくと良いかもしれません。

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