こんにちは。やまもとです。
マーケティング検定の学習をしながら、知らなかった点をまとめています。
MBAで学んだマーケティングでは、あまり組織のあり方には言及されませんでしたが、組織は企業経営における2大問題(戦略と組織)のうちの1つです。
今回は、時代の要請に合わせてマーケティング組織がどのように変わってきたのかをまとめておきたいと思います。
マーケティング組織の移り変わり
マーケティング組織とは、マーケティング活動に関わる業務を遂行する組織のことです。マーケティング活動の業務内容は、市場調査・広告・流通チャネルとの交渉・価格設定・新製品開発など多岐にわたります。20世紀に入るまで、マーケティングという概念が存在しませんでしたから、当然マーケティング組織も存在しませんでした。ここでは、20世紀以降の大まかな変遷を確認しておきたいと思います。
20世紀初頭
生活必需品不足から売り手市場だった時代、製造業は「製造」を中枢と捉え、マーケティングは製品を売り捌くことが期待されていました。
そのため、マーケティング活動の価格設定・広告・フィールドセールスなどは、別々の部門に配置されており、マーケティング組織は存在しませんでした。
専門化
経済が発展し、需要不足になると、「製造して、売り捌く」方法が通用しなくなり、市場調査や広告で需要の探索や喚起が必要になりました。
そのため、市場調査や広告が新設され専門化が始まりました。
その結果、多岐にわたる業務を分業化し、独立した部署に担当させて、業務単位のマーケティング組織が誕生しました。
統合化
専門化が進むと、広告や販売といった部署ごとに意思決定が行われ、広告計画と販売計画の不整合が起き始めました。
そのため、マーケティング組織の統合化が行われ、マーケティング部門の下に広告部や販売部を配置する階層的な組織構造が取り入れらました。
現代のマーケティング組織
現代のマーケティング組織デザインは、「職能志向の組織」と「市場志向の組織」という2つの基本形の組み合わせで成り立っています。
職能志向の組織
職能志向の組織とは、営業・広告・市場調査・製品開発といった担当業務別に分割した部門で編成された組織のことです。
職能志向の組織のメリット
- マーケティング組織内での業務の重複を排除できる
- 各業務において規模の経済性を追求できる
- 業務ごとに、専門的な技能を高めることができる(経験効果が期待できる)
- 部門が大きくなると、業務をさらに分業化できる
職能志向の組織のデメリット
職能志向の組織では、下記の条件を満たす場合、業務間の調整に時間と手間がかかります。
- 製品・サービスの異質性が高い(膨大な数の製品を扱う必要がある)
- 消費者のニーズの多様性が高い(多様なニーズに合わせた膨大な数のプログラムが必要になる)
- 異質性と多様性が次々と変化する状況(膨大な数のプログラムを短期で改変する必要がある)
職能志向の組織が適切な場合
下記の3条件を満たす場合、職能志向組織が向いています。
- 扱う製品・サービスが少ない
- 消費者ニーズの多様性が乏しい
- 市場環境が安定している
市場志向の組織
市場志向の組織とは、製品・サービス、販売地域、顧客といった市場の基づいて分割された組織のことです。
事業部制組織
事業部制組織は、担当製品ごとに分けられた組織です。
地区担当制組織
地区担当制組織は、販売地域ごとに分けられた組織です。
市場志向の組織のメリット
- 製品・サービス、地域や顧客の特性に応じて、迅速に活動できる
- 地域や顧客の責任窓口が一本化される
- 業務間の調整が容易になる
市場志向組織のデメリット
- 企業の中で、類似した業務が重複しやすい
- 特定の地域や顧客の要求に過剰反応しやすい
- 業務の集中が生まれにくい(規模の経済性が得にくい)
- 技能の専門化が生まれにくい(経験効果が得にくい)
市場志向の組織が適切な場合
規模の経済性や経験効果を無視してでも、下記の環境にある事業は市場志向の組織が適切になります。
- 取扱う製品・サービスが多い
- 市場ニーズの多様性が高い
- 市場環境の変動性が高い
組織デザインのポイント
結局、職能志向の組織と市場志向の組織の間には「専門化の利益を追求するのか(職能志向)、統合化の利益を追求するのか(市場志向)」というトレードオフが存在します。
組織デザインでは、これらをどうバランスするのかが重要になります。
今現在、もっとも採用されている事業部制組織について、続きを書きました。参考までにご覧ください。
このブログは、下記のテキストを参考にしています。