創造性ってどうすれば発揮できるんだろう?とずっと気になっていたので、研究でどこまで分かっているのか調べてみることにしました。
新しい何かが生み出されるときに「創造性」が必要なことは、多くの人がイメージできるのではないでしょうか?
ところが、調べてみるとこの「創造性」は、まだ正体がよく分かっていないようです。
創造性の定義からして、いろいろな定義があります。
創造性の定義
- 問題への新しい解答、新しい方法や装置の発明、新しい芸術様式のような新しい物や概念を生み出す能力(ブリタニア辞典、矢野ら,2002)、
- 新しいものを自分の新しい考えや技術ではじめてつくりだすこと(日本国語辞典、矢野ら,2002)、
- ある目的達成あるいは新しい場面の問題解決に適したアイデアや新しいイメージを生み出し、あるいは社会的・文化的に、または個人的に新しい価値あるものを作り出す能力、およびそれを基礎付ける人格的特性である(矢野ら,2002)
- 独創的で価値あるもののを作ること(Sternberg,2011)
また、「過去10年間で、創造性には斬新で有用な製品の生産が含まれるという一般的な合意に達したようだ」(Mumfold,2011)とも言われ、能力だけでなく、実際に何かを作り出すことが含まれるようになったようです。しかしながら、まだ明確な定義の合意には至っていないと考えた方が良さそうです。
創造性の研究アプローチ
創造性の理論は、4つのP(Process、Product、People、Place)のアプローチから調査されています。(Rhodes,1961)
- Process
- 認知心理学によって創造的な思考プロセスを明らかにするアプローチです。
- 例えば、発散的思考(Guilfordなど)や創造性のステージング(Wallasなど)が相当します。
- Product
- 主に創造性を心理学的に測定する試みによるアプローチです。
- このアプローチでは、創造性の要因を明らかにしようとしています。(Sternbergなど)
- People
- 創造的な人に焦点を当てたアプローチです。
- 創造的な人の、一般的な知的習慣を明らかにしようとします。
- Place
- 創造的になる環境や状況に焦点を当てたアプローチです。
- どれくらい自由か、必要なものが手に入るかなどが考慮されます。
ただし、1990年代以降、日本ではあまり創造性の研究は行われていないそうです。(矢野ら,2002)
手始めに、Processアプローチから調べようと思います。
Wallasの創造性のプロセス
古典的な創造性のプロセスは、Wallasの「Art of Thought」(Wallas,1926)で、下記の5段階ステージとして提案されています。
- Preparation・・・個人の心を問題に集中させ、探求する準備段階
- Incubation・・・問題が無意識の中に内在し、外からは何も見えない段階
- Intimation・・・解決策が進行中であるという「感覚」を得る段階
- Illumination・・・創造的アイデアが、意識的な認識へと爆発する洞察段階
- Verification・・・アイデアを精緻化し、適用される検証段階
Wallasのプロセスは、ステージ(3)は(2)に含まれるとし、4段階で示されることもあります。
自分が大学生の時の実体験に当てはめてみると、
- ある問題に関係しそうな論文を読んだり、考えたり、計算してみたりしても解決策を見えず「だめかー」と思う段階
- 諦めて大学から自宅に帰りながら、ぼんやり「あれはどうかなぁ」と思索する段階
- (当てはまらない)
- その歩いている時や電車のシートに座った瞬間に「あれ?これでできそう?」と突然アイデアが浮かぶ段階
- 浮かんだアイデアを自宅で急いで文章化したり検算したりして「あ、これでいいんだ。」と確かめる段階
というプロセスを踏んでいたので、Wallasのプロセスはまあまあ妥当な印象です。
休息の効果
WallasのIncubationステージは、思考を中断し、休息する段階です。この一時的な休息は、インキュベーション効果として調べられています。(Smith,1989)
インキュベーション効果では、休息によって誤解を招く情報を「忘れる」ことで、適切な情報にアクセスしやすくなり、創造的な問題解決につながると説明されます。(Smith,1989)
まとめ
この記事では、創造性の定義、アプローチ、Wallasのプロセスおよび休息の効果を簡単にまとめました。でも、Processアプローチだけでも色々な研究があるので、また別の記事でまとめようと思います。
創造性に関してのブログは自分の備忘録になってしまいますが、誰かの参考になると嬉しいです。
ついでに、いつも文章が長くなりがち(5000~10000字)なので、なるべく短く区切っていく練習をしてみます。